「この車、事故歴があるんですけど……正直、もう価値ないですよね?」
これは中古車を持っている人から、よく聞く言葉です。
事故歴という言葉を聞くだけで、「安くしか売れない」「下取りを断られる」「そもそも売れない」と思ってしまう人は少なくありません。
でも、結論から言います。
事故歴がある=車の価値がゼロになる、ということはほぼありません。
むしろ、
「事故歴がある車ほど、売り方で価値に大きな差が出る」
これが現実です。
そもそも「事故歴」とは何を指すのか?
まず前提として知っておきたいのが、「事故歴=全部同じ」ではないということです。
一般的に中古車業界でいう事故歴とは、
- フレーム(骨格)部分を修復した履歴がある
- 走行や安全性に影響する修理があった
こういったケースを指すことが多いです。
一方で、
- バンパーをぶつけて交換した
- ドアをこすって板金した
- 軽い追突で修理した
この程度であれば、事故歴扱いされないことも珍しくありません。
つまり、
「事故歴あり」と一括りにされがちですが、実態はかなり幅があります。
事故歴があると、車の価値はどれくらい下がる?
気になるのはここですよね。
一般的には、
- 軽微な修復歴:数万円〜数十万円ダウン
- フレーム修正あり:相場より10〜30%ダウン
と言われることが多いです。
ただし、これはあくまで平均的な話。
実際には、
- 車種(人気車・不人気車)
- 年式・走行距離
- 修理の内容と仕上がり
- 売るタイミング
これらによって、価値は大きく変わります。
そして、ここが一番重要なポイントですが、
「どこに売るか」で、同じ事故歴車でも数十万円の差が出ることがある
という事実です。
ディーラー下取りで損をしやすい理由
事故歴がある車で一番やりがちなのが、
ディーラーで「事故歴あるので、値段つきませんね」と言われてそのまま下取り
これです。
ディーラーは基本的に「新車を売る場所」です。
中古車として再販する前提ではないため、事故歴車はリスク扱いされがちです。
その結果、
- ほぼ値段がつかない
- 相場より大幅に安い査定
- 「廃車ですね」と言われる
こういったケースが起こります。
でもそれは、車に価値がないのではなく、ディーラーが買いたくないだけの場合が多いのです。
事故歴車でも「欲しい人」は確実にいる
視点を変えてみましょう。
世の中には、
- とにかく安く車が欲しい人
- 修理・整備が得意な業者
- 海外に輸出する業者
- 部品取りとして価値を見ている業者
こういった人・業者がたくさんいます。
彼らにとって重要なのは、
- 事故歴があるかどうか
- 見た目が多少悪いかどうか
ではなく、
- どの車種か
- どの部品が使えるか
- どの市場で再販できるか
です。
つまり、見る人が変われば、事故歴車は「お宝」になることもあるということです。
「価値があるかどうか」は、1社では決まらない
事故歴がある車ほど、
1社の査定だけで判断するのは危険です。
なぜなら、
- A社では0円
- B社では5万円
- C社では30万円
こんなことが、本当に普通に起こるからです。
しかも本人は、
「事故歴あるし、こんなもんか」
と納得してしまいがち。
ここが一番もったいないポイントです。
事故歴があるからこそ「比べる」意味がある
事故歴がない車なら、どこで売っても大きな差は出にくいです。
でも事故歴がある車は違います。
- 業者ごとの評価基準がバラバラ
- 得意・不得意がはっきり分かれる
- 数十万円単位で差が出ることもある
だからこそ、
最初から1社に決め打ちするのではなく、複数の視点で見てもらうことが重要です。
「どうせ安い」と決めつける前に
ここまで読んでいただいて、もしあなたが、
- 事故歴があるから売れないと思っていた
- 下取りが安すぎて諦めていた
- 廃車にしようか迷っていた
そんな状態なら、一度立ち止まって考えてみてください。
その車、本当に「価値がない」のでしょうか?
それとも、正しく評価されていないだけでしょうか?
